2015/11/13

映画の観かた

少し前の話になりますが、、、
映画、ソーシャルネットワークを観終わった後の感想といえば、「何が何だかさっぱり分からなかった」が正直なところでした。とりあえず、Facebook の立ち上げのゴタゴタと、マーク・ザッカーバーグの人としての物語か?と適当に自分に納得させ、あまり深く考えることもなく、ましてや観直すこともなく忘れ去られつつありました。
その後、大変失礼ながら、エッセイストの町山智浩さんが、実は映画評論家が本業であることを知り、そのわかり易い映画解説がぼくにとっては青天の霹靂でありました。彼の本を貪るように読み、ラジオを聴き、ポッドキャストを聞き、アプリをDLし過去のネタを読み聞きしていきました。で、Podcastで聞いた「ソーシャルネットワーク」についての解説で、たくさんの?が瞬く間に氷解してしまいました。
詳しくはぜひご自分で聞いてみてください。

アメリカ映画特電(クリックするとiTunesのリンクが貼られたWebm画面が立ち上がります)
「第104回 もう観ちゃった人のための『ソーシャル・ネットワーク」
こちらもオススメです。
「第73回 啓蟄と『恋はデジャブ』とニーチェ」

YouTubeでも過去のラジオのトークを聞くことができます。
検索すればたくさん出てきますので、さがしてね。

町山さんが考える映画の楽しみ方に「映画は何も考えないで観ても面白い!けど、いろいろ知ると百倍面白い」というのがあります。でも、素人が映画の背景を深く掘り起こしてから解釈するなんてとても時間の掛かる事です。だからこそ、そこに映画評論家の存在価値があり、逆に映画評論家は映画の裏に含まれる情報を吸い取り、読み解くだけの知識が無くてはいけないとも言っています。
つまり、1本の映画とは、その監督やキャスティングされた俳優の肌の色、人種、宗教、思想、過去の作品等、また、オマージュを捧げる映画のセリフ、ストーリー、撮り方、等々が複雑に絡み合い、そこからはじめて映画に込められたメッセージがあぶり出されるということです。
ですから、「観てその場だけ楽しければいい」という最近のハリウッドのドンパチ映画に対し、警鐘を鳴らしています。
観終わって、この映画は一体何を云えたかったのか?あの不思議なカットは何を表していたのか?なぜあのセリフの意味は何だったのか?等、観終わっても考え続ける映画が良い映画だとも言っています。

podcast等では放送禁止用語が連発し、一部の方には不快に思われるネタも取り上げ、ハチャメチャに感じられるかもしれませんが、バカヤロー口調で「実存主義」や「原点回帰」を説明してもらえますので、とてもわかり易く本当に勉強になります。
「底抜け合衆国 アメリカが最もバカだった4年間」の文庫版では、町山さんのファンである、あの 内田樹 さんが解説を寄稿しており、その中で町山さんのことを「日本でもっとも信頼を寄せている批評的知性のひとりである」と認識し、「9条どうでしょう」という本まで共著しています。

映画評論家としての町山さんを知らなかったら、僕の映画の観かたは間違いなく薄っぺらなままだったと思います。
最近では町山さんの解説を参考に、60年代のモノクロ映画をよく観るようになりました。