2016/07/20

わだかまり

半年間、ずっと心に残っていた”わだかまり”がようやく今日解けました。
半年前、何度かお仕事をさせていただいた事のあるメーカーさんからサンプル作製の依頼をいただき、年末に打ち合わせをし、年始の第2週ぐらいに納品というスケジュールでしたが、図面や素材に不具合があったり、また、年末年始で素材の代替え等の手配が取れないなど問題がありましたが、なんとか納期に間に合わせることができました。しかし、サンプルを確認した担当の女性デザイナーからは「クオリティが悪い」と烈火の如く怒られてしまいました。彼女としては1’st サンプルでも最終サンプルのクオリティを求めていたようです。
バッグ業界では、1’st サンプルでは、イメージしたバッグに素材、デザイン、コストが見合うかの判断をし、その上で、2’nd. 3’rd と進めていくのが一般的な進め方と思っており、1’st で不具合があることはとても多い事であり、その修正のための的確な助言ができる人かできない人かが、サンプル職人としての上手さの一つであると思っています。
今回の場合、そもそも指定した素材がバッグに適していなかったり、いただいた図面がバッグとして機能しない欠陥があったという事を差し引くこともなく、自分が理想と思っていたサンプルとの乖離を、とことん指摘してきました。20年以上サンプルを作ってきましたが、これほどまでに言われたのは初めてで、自分としても少し落ち込んでしまいました。
今朝、このメーカーさんの専務とお話をする機会があり、ご迷惑をお掛けしてしまったと詫びたところ、この件は全く報告されていなかったようでした。少しお話をしたところ、何となく察しがつきましたが担当したデザイナーは既に辞めているそうです。
どんな業界でも自分一人で何事もできると思っている驕りのある人は、いい仕事ができないと思いますし、改めて、自分への戒めとして気をつけたいと思います。

本文とは全く関係ありませんが、写真は自宅のデッキでくつろぐキジバト。平和です。