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2014/08/23

10年ぶりの再会

ボクがデザイン、縫製し、今は無くなってしまった神戸の1店舗のみで販売していたカバンが、昨日、修理品として戻ってきました。
このカバン、お客様が店頭でサンプルを見て、色と型を選び、前金で受注し、2~3ヶ月後のお渡しというお客様にとってはリスクの高い商品でしたが、意外に細く長く売れました。会社側の都合で終わってしまいましたが、「良い物は高くても売れる」という事を実証してくれた企画だったと思います。
10年も前にご購入されたそうですが、全く形崩れしていません。お客様の使い方が良いと言うのもあるかもしれませんが、内装やハンドルを見るとそれなりにヤツれてきているので、「たまにしか使わない10年」や「車での移動が多い10年」ではないようです。
修理箇所はファスナー交換。本体はホツレも無く、ブッテーロ(革)のツヤがよく出ています。欲を言えばもう少し保革油などでお手入れしてあげれば小キズも目立たなくなるのですが、、、でもこの10年は立派です。

形崩れしていないミソはこのベルト。マチ下まで通してあり、ベルトはハンドル部分のベルト通しで固定されているので、これ以上膨らむ事はありません。ベルトで本体をぐるりと1周させて固定するカバンは伝統的な手法で、イギリスのカバンによく見られますが、本体開閉部までベルトがくると本体の開け閉めに支障が出てきます。それなら開閉部のベルトは取っ払ってしまっえってのがデザインポイントでした。(実用新案出せるかなwww)

で、修理内容のファスナー交換ですが、スライダー交換だけで済んだので(お客様のご意向で、スライダー交換だけで良い様なら、スライダーだけの交換で済ませたいとの事でした)お客さんの財布にも優しい修理となりました。


こういう再会は、デザイナーとしても、実際の縫製者としてもとても嬉しい。
天ファスナーで、カブセも無いシンプルな作りです。
バッグを置かなくても中の物を取り出し易くしました。

最後にベルトを底で繋ぎ合わせます。

殆どのカバンはマチ側から見ると台形に膨れてしまいますが、
10年でこの形状維持は手前ミソながら素晴らしいです。

2014/08/18

法人設立のお知らせ

個人事業主として2年と4ヶ月仕事をしてきましたが、先日の8月6日に合同会社を設立いたしました。
社会人になってからというもの、全く出世欲が無かったにもかかわらず、会社を作ってしまいました。

「合同会社」とは今では作れなくなってしまった「有限会社」とほぼ同じ規定。ちなみに、西友やアップル•ジャパンも合同会社。「代表社員」とは合同会社の代表者(社長)の正式名称で、株式会社の代表取締役にあたります。
社名の「パーシモン」は居を構えた地名の「柿生」からとりました。父に報告すると、柿の木はその固さからゴルフクラブのヘッドに使われている?との事。柔軟な発想でも固い信念を持った会社にするようを頂けました。

会社設立と言っても、ただ書類を提出しただけで、まだホームページも無く、もちろん社員は1人だけ。定款も自分で書き、登記申請も自分で法務局へ行くという、手作り感溢れる会社です。ただのペーパーカンパニーと思われてしまうような会社ですが、少しずつ社会に認められるような会社にしていきたいと思っていますので、長い目で(遠い目で?)見守ってあげてください。



2014/05/24

素押し機(改)

カシメやホック類を打つ時に使う「ハンドプレス機」を改造して作ったオリジナルの「素押し機」。
素押しの版を接着する真鍮の板を作り、プレス機の駒を付ける部分にねじ込み、その真鍮板をニクロム線ヒーターで挟み、加熱できるようにしてあります。
ACコードの途中に電圧コントローラーを噛ませてあるので、一応、温度調節もできます。


大きな裁断物のど真ん中に押してくれとか、立体物ではない限りほとんどコレで大丈夫ですが、某セレクトショップから、厄介なオーダーが来ました。新店舗の内覧会用に、出来合いのスリッパに押してくれとの事。しかも、革は柔らかなシープ、なおかつフカフカにクッションの入ったカカトに入れてくれと、、。


今の状態だと、真鍮版とのクリアランスは16ミリほど。コレに厚さ8ミリの素押しの版を付けるので、実際は8ミリしかありません。フカフカのスリッパは5年ぐらい履き潰さないと入りません。 ではどうするか?改造するしかありません。で、試行錯誤の末、、、できました。クリアランスが30ミリに増えました!


残念ながらスリッパに押す版は柄が緻密なため、厚さが15ミリもありましたが、それでもクリアランスは15ミリ。カカトを平に広げながら何とか、、、、押せました。
でも、フカフカな出来合いの物に素押しを押すのは、力加減が難しいです。想像していた通り、版が革に喰い込んでいる箇所もありました。が、勘弁してもらえる事を祈ります。



2014/05/16

裏地交換

バッグの裏地交換を頼まれました。
ありゃりゃりゃ、酷い加水分解です。さわるのも嫌なぐらいベトベトしていますが、「どうしてもお願いします♡」と言われてしまうと断れません。




とりあえず、ファスナー周りのステッチをほどいて、ベトベト裏地を取り外しますが、、、糸切りはさみや糸にまでベトベトがまとわりつき、思うように作業が進みません。しかも、表のメッシュは少し力をかけると解けそうなので、慎重に作業します。
取り外せたら、本体と同じ大きさの裏地の型紙を取り(今回は本体に貼り込む際の事を考慮し、取り外した裏地とは違う型紙の取り方をしました。)、裁断縫製します。

裏地は依頼者が持ち込んだ生地を使ったのですが、薄すぎてミシンでは上手く縫えません。テンションを調整しつつ、だまし騙し縫いましたが、生地を渡された時にしっかりチェックすべきだったな、と反省。

バッグ本体に新たに作った裏地を貼りこみ、ファスナー周りをぐるりと縫製して出来上がり。(簡単に書きましたが、ここでもいろいろ悩まされました、、。)

で、このバッグ、どこにもブランド名が記されてません。縫製はそこそこ、、、と云うより、かなりしっかりとした技術がある縫い方をしているのに、どうしてこんな裏地を使うのか、、、?



取り外したベトベトの裏地を確認すると、イタリア製の某有名ブランドであることが判明。
こりゃ、買ったお店に持って行った方が良かったんじゃないの?
ウチの奥さん、独身時代に買った某ブランドのバッグの裏地が加水分解でボロボロになり、お店に持ち込んだら新品と交換してもらえたそうです。

加水分解はウレタン系の、合成皮革、人工皮革やコーティング生地に発生します。水分と反応しておこる化学変化で、製造されたときから反応が始まるので、避ける事は出来ません。遅らせる事が精一杯です。バッグやビニジャン( !! )を買う際は素材を確認してから買いましょう、、、と言っても、普通は商品タグなどに表記などされてないし、店員さんもわからないと思いますがwww

2014/04/14

コバ塗り機

革製品の裁断面を処理(着色やツヤ出しなどで、見た目をきれいにしたり、革の繊維がボソボソほつれてこないようにしるための処理)する時、一般的には、ヌメ革は「ふのり」等で磨いて処理しますが、クローム系の革は塗料(コーティング剤)を塗って仕上げます。ヌメ革の時は、それなりの商品になるので、じっくり時間をかけて処理しますが、クローム系の場合はそんなに時間をかけられません。せいぜい下塗りと仕上げの2度塗りぐらい。大した距離ではない時は綿棒などでコロコロ塗っていきますが、ショルダーストラップ等長い距離を塗る時は大変な作業になります。しかも手作業でコロコロ塗るとあまりきれいに塗れません。
で、その筋の方々からは「コロコロ」と呼ばれている、こんな道具が販売されています。



容器の中に塗料や染料を入れ、コバ塗りする革の断面ででローラーをまわすと、ローラーが染料をすくいながら革に塗れるという単純な仕組み。でも、どれもコレも1万円以上します。とりあえずどんなものかと1台買ってみたのですが、どうしてコレが1万円もするのかさっぱりわかりません。しかも1回使ったらその度に洗わなければなりません。
どうにか自作の道を考えているのですが、なかなかいい材料が見つかりません。
理想は、ローラー台がすっぽり入ったまま蓋が出来るサイズの容器で、ローラーはその都度洗うのが希望。
とりあえず、ローラー台を入れたまま蓋が出来るサイズの容器をいくつか購入したので、色数分のローラー台と、そのサイズに合うローラーを探していました。

昨日、別件で近所のホームセンターに行ったところ、こんなものに目が釘付け!襖等に取り付ける「戸車」。


キタ━━━(゜∀゜)━━━!!! コレは使えそう!これなら容器の上に載せるだけでローラー台は要らないし、洗うのも簡単そう。とりあえず1パック買い、家にある容器とのバランスを試してみると、、、、



いけそう♡ 容器に固定するのに何か工夫が必要だけど、とりあえずはセロファンテープでも大丈夫そう。


実際に使ってみても何の不自由も無く使えちゃってる。まぁ、欲を言えばローラーの幅がもう少し広ければ安定してコロコロできるのですが、、、。
ちなみに容器は100円ショップで4個セットで購入。戸車は2個セットで210円ほど。300円もかけることなくこんな道具が出来てしまいました♡

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2015/11/11 コバ塗り機のその後を追記しました


2011/10/04

久しぶりのご対面

 8年前に作った商品が修理の為に戻って来ました。
メーカーに作って頂くのではなく、裁断、縫製の全行程を本社のアトリエで行っていたこの鞄、神戸の某百貨店、1店舗だけでオーダーを受けて作製していました。
ソフトな革のブリーフケース2型と、固めの革の鞄タイプ3型の2シリーズでしたが、店頭にはそれぞれの革で1型づつ、2本しか置いていませんでした。今思うと、かなりのんびりしたオーダー企画でしたな、、。
全額前払いと納期2ヶ月!を頂いていたにもかかわらず、意外に多くのお客様からオーダーを頂き、店のイベントとしても長期間開催されていました。(ぼくも出張し、3日間、店頭でオーダーを受けました。)
2年後には、次第に多くなるオーダーの多さに、通常業務に差し支え始めて来たので、メーカーにお願いしようか?などという、本末転倒な意見も出ましたが、残念ながらイベント終了と云う形になりました。

そして8年後、奇しくも、当時オーダーを取っていた2型がほぼ同時に、修理にやってきました。




ミネルバボックスという革で作られた、ソフトタイプのブリーフケース。
このお客様、ほぼ、毎日使われていたようです。
ミネルバボックスは5年も使えば型崩れしてしまうかな?と思っていましたが、芯使いが良かったのか、びくともしていません。コレは意外な点でした。
写真には写っていませんが、内装の生地の剥がれがかなりありました。コレはしっかり改良点として憶えておかなくてはなりません。

お客様の修理希望箇所は、アオリの補強ステッチのホツレです。
ココも、何年かしたら解れるかなと思っていたものの、実際に修理に来たのは8年間で、何十本作った内の1〜2本。芯使いと補強ステッチが有効に機能していたようです。



このイベントでオーダーして頂いた全てのお客様には、お礼の手紙を入れてお渡ししていましたが、嬉しい事に、このお客様は修理品と一緒に、その時の手紙のコピーを添付してくださいました。



こちらはブッテーロという革で作られた、ダレスバッグ。
ダレスの型は糸ホツレ意外は完璧です。さすがブッテーロ。味の出方が抜群です。
糸のほつれ以外は、コレと言って不具合はありません。補強ベルトの効果もテキメンです。


商品開発に携わっている人、特にデザイナーには修理品をよく見ろ!と言っています。修理品にはエンドユーザーのナマの情報がギッシリ詰まっているからです。
強度の足りない作り。型崩れし易いデザイン。あらゆる素材の経年劣化。どんな修理が多いのか?などなど、、、机上では想像もつかないような貴重な情報が沢山です。
今回、自分も、帰ってきた修理品に詰まった貴重な情報を記録し、もし、次回があるなら、しっかりフィードバックしたいと思います。
、、、そんな機会はあるのか?