今年のアカデミー作品賞、脚本賞受賞作品映画「スポットライト」を地元の映画館で観てきました。
主演のマイケル・キートン以外は僕が知っている俳優さんがが出てなく、もちろんドンパチ、ドッカーンも無い、いわゆる告発ものという地味な映画ですが、そのストーリーだけで充分楽しめました。
ボストン・グローブ社の「スポットライト」という5人のコラムチームが、どのようにしてにカトリック教会という世界的な巨大組織の隠蔽に挑み、告発していくかが見ものです。
9.11の事件に重なっていた事もあるかもしれませんが、こんな大きな事件があった事に驚きましたが、キリスト教の恥部を晒け出すような作品が、アカデミー作品賞を受賞してしまう事にも驚きました。まぁ、アカデミー会員の殆どがユダヤ教であるというのが1つの要因であるかもしれません。
この映画を観ていて思い出したのが、最近録画しておいた映画「インサイダー」でした。
タバコ会社の役員でありながら、突然クビにされてしまい、解雇されてもなお機密保持契約を結ばされているにもかかわらず、会社の不正をテレビ番組に告発しようとする1人の男と、告発に協力し、番組として放送しようとするが、告発されたタバコ会社からの告発を避けようとするテレビ会社のスタンスに葛藤する番組プロデューサー。巨大組織に挑む2人の葛藤を描いたストーリーが地味ながらグイグイと引きつけます。
歳をとったせいか、最近はこういう地味ながらストーリーでじっくり引き込む映画が好きになりました。
もう一本DVDで観たのが、先日もブログに書いた「プリズナーズ」の監督「ドゥニ・ヴィルヌーヴ」の過去の作品「灼熱の魂」です。
もともとは戯曲で、日本でも舞台公演があったようですが、映画作品さえも知りませんでした。
謎の過去をもつ女性が男女の双子に残した遺書から始まる壮絶な物語。
亡くなった女性の若い頃の話や、子供達の現在の話が交錯し、予備知識が無いとかなり理解しにくいシナリオですが(しかも、亡くなった母親と娘が似ているし)、ネタバレだけは避けて観ていただきたいです。
ネタバレ無しの予備知識はここ。
終盤のセリフに出てくる「1+1=1」という謎掛けが解けた時の衝撃は頭の中を真っ白にさせてしまいます。
「スポットライト」の内容はドキュメンタリー作品「フロムイーブル」という映画もあります。DVDで是非観ましょう。
2016/05/23
2016/05/11
映画「プリズナーズ」を観ました
録画予約した覚えもなく、たまたま録画してあった冴えないタイトルの映画「プリズナーズ」を観ました。
これがなんとも奥の深い映画でびっくりし、2度も観てしまいましたw
プリズナーズ、色々なものに囚われの身となっている人たちが出てきます。
ストーリーは子供の誘拐犯探しのミステリーですが、その裏に込められたメッセージの多さ、重苦しさにびっくりします。
誘拐された子供の親である主人公ケラーは、キリスト教原理主義者で家族と平和を愛し、厳格であり、善人であるが、家族が危険に晒されると人殺しも止みません。狩りを終えた子供に「備えよ常に」と自分が父から引き継いだ思想を、教えることから、彼をプレッパーズであると描いています。
もう一人の主人公は、北欧神話のトリックスター「ロキ」と同じ名前の刑事。彼は家族を持たず、フリーメイソンの指輪をし、首にはイシュタルの星、手にはゾディアックの入れ墨ということから、色々な宗教や考え方を取り込み、何事にも柔軟に対応出来る人物と描かれています。また、自ら「昔は少年院にいた」と悪である事を受け入れつつも、現在は警察という国家に忠誠を誓った人物でもあります。
誘拐されたケラーの娘をロキ刑事が捜査するというストーリーの中で、登場人物たちの過去は描かれていませんが、ほんの短い会話や、ラジオから流れるBGMが重要な意味を持っており、場面ごとのストーリーに込められたメタファーが数多く、1つ1つ拾いながらなど観ていくと、2時間半、一瞬たりとも気を抜けません。
特に、登場人物の多くがキリスト教原理主義者である描写が多く、カーラジオから流れるBGMがクリステャンポップであったり、車のバックミラーに十字架が掛けられていたり、「B・スプリングスティーンと星条旗は永遠なれが好きだ」という会話からも想像ができます(余談ですが、B・スプリングスティーン本人はとてもリベラルだそうです)。
また、ケラーの父の家が荒れ放題になっているのは、父の自殺をまだ自分で整理できてない事を表現し、その家がまるで迷路のような構造になっているのも迷宮に迷い込んでしまったケラーの心そのもののようです。
そして、ヘビがサタンの化身であり、入り組んだ迷宮の図像的シンボルでもあることを想像させ、その家でケラーは一線を超えた暴挙に出てしまいました。
まだまだたくさんの伏線が張られていますが、自分でもまだモヤモヤしたところが多い映画です。
ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督はカナダ人であることから、外国人が見た「典型的な悩めるアメリカ」を描いているように思えます。プリズナーズ、これはもう「キリスト教原理主義に囚われたアメリカ人たち」としか思えない気がします。
ネタバレストーリーはここ
これがなんとも奥の深い映画でびっくりし、2度も観てしまいましたw
プリズナーズ、色々なものに囚われの身となっている人たちが出てきます。
ストーリーは子供の誘拐犯探しのミステリーですが、その裏に込められたメッセージの多さ、重苦しさにびっくりします。
誘拐された子供の親である主人公ケラーは、キリスト教原理主義者で家族と平和を愛し、厳格であり、善人であるが、家族が危険に晒されると人殺しも止みません。狩りを終えた子供に「備えよ常に」と自分が父から引き継いだ思想を、教えることから、彼をプレッパーズであると描いています。
もう一人の主人公は、北欧神話のトリックスター「ロキ」と同じ名前の刑事。彼は家族を持たず、フリーメイソンの指輪をし、首にはイシュタルの星、手にはゾディアックの入れ墨ということから、色々な宗教や考え方を取り込み、何事にも柔軟に対応出来る人物と描かれています。また、自ら「昔は少年院にいた」と悪である事を受け入れつつも、現在は警察という国家に忠誠を誓った人物でもあります。
誘拐されたケラーの娘をロキ刑事が捜査するというストーリーの中で、登場人物たちの過去は描かれていませんが、ほんの短い会話や、ラジオから流れるBGMが重要な意味を持っており、場面ごとのストーリーに込められたメタファーが数多く、1つ1つ拾いながらなど観ていくと、2時間半、一瞬たりとも気を抜けません。
特に、登場人物の多くがキリスト教原理主義者である描写が多く、カーラジオから流れるBGMがクリステャンポップであったり、車のバックミラーに十字架が掛けられていたり、「B・スプリングスティーンと星条旗は永遠なれが好きだ」という会話からも想像ができます(余談ですが、B・スプリングスティーン本人はとてもリベラルだそうです)。
また、ケラーの父の家が荒れ放題になっているのは、父の自殺をまだ自分で整理できてない事を表現し、その家がまるで迷路のような構造になっているのも迷宮に迷い込んでしまったケラーの心そのもののようです。
そして、ヘビがサタンの化身であり、入り組んだ迷宮の図像的シンボルでもあることを想像させ、その家でケラーは一線を超えた暴挙に出てしまいました。
まだまだたくさんの伏線が張られていますが、自分でもまだモヤモヤしたところが多い映画です。
ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督はカナダ人であることから、外国人が見た「典型的な悩めるアメリカ」を描いているように思えます。プリズナーズ、これはもう「キリスト教原理主義に囚われたアメリカ人たち」としか思えない気がします。
ネタバレストーリーはここ
2016/05/02
ヴィトン展に行ってきました
昨年のエルメス展を意識してか今年はヴィトン展。
先日行ってきたので、簡単ですがレポートします。
昨年パリで行われたイベントの第2弾として東京展が行われたそうです。
入場無料、事前にオンライン予約しておけば入場もスムーズでしょう。
また、事前にスマートフォンのアプリをDLしておけば、会場の案内やオーディオガイドとして使えそうです。
当日は雨、しかも平日だったので空いていました。
もちろん、写真撮影はOKです。エルメス展と比べると、案内していただけるスタッフがたくさん配置されており、商品についても詳しく教えて頂けました。帰り際にはポスターまでいただけ、至れり尽くせりな感じでした。
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赤坂見附駅から送迎バスもありました。 |
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今回の展示物の殆どは、3代目ガストン・ルイ・ヴィトンのコレクションであり、 彼は無類の収集家だったので、これだけの商品や資料が今でも残っていたそうです。1906年のガストン所有のトランク。すでにモノグラム柄のプリントが完成しています。 |
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ガストンは、こんな工具もコレクションしていました。 本当にヲタクだったんですねw |
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内装に貼られてた製品ラベル(上)と パリとロンドンのルイ・ヴィトンストアで使われていた郵便封筒 こういうコレクションも面白いです |
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広告用カード |
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オーダーシート |
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赤十字軍の特別モデル |
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ガストンは自らグラフィックデザインもしていました |
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ラフ画も展示されています |
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おなじみ、鍵の顧客番号ノート |
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真鍮製の止め金具 最近はこういう金具が作られなくなりました |
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1887年の製品の内装に貼られていた製品ラベル |
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会場は幾つかのテーマに分かれており、最初の会場のテーマは トランクから始まったということで「木材」 この写真は次のテーマ「クラッシックなトランク」 什器もおしゃれです |
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写真家(名前は失念)のオーダー品 |
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ヨットの部屋 最近の作品も展示されています |
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映画「ダージリン急行」で使われた動物柄のトランク。 |
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海軍っぽいコレクション、カッコイイ |
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自動車の部屋はまんま並木道を表現 |
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当時の車の後部座席の後ろ、いわゆるトランク部分に 取り付けられたトランク。 |
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婦人用ハンドバッグの広告 |
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モノグラムプリントも当時はゴム版みたいな感じで かなりムラがあります |
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これも広告 |
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Mジェイコブスのバッグ マチの柄合わせがスゴイ! マチ用専用に柄の規格を変えてプリントしたんだろうな |
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「空の旅」はメインのビジュアル |
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作家キム・ジョーンズ氏のライティングケース |
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本箱 |
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ガストンによるグラフィック もしかしたらモノグラムは、LVではなくGLVになっていたかも? |
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これもガストン |
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ガストンのグリーティングカード |
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ガストン、店舗のショーウィンドウのデザインもしていました |
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ガストン! |
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ガストン!! |
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ブラシ以外はオリジナルだそうです |
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セレブリティの部屋 |
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セレブリティの部屋はトランクの内装と同じ壁 |
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セレブリティのオーダーフォーム これはO ヘップバーン |
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洗練されたダンディズム |
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ガストンは刀の鍔にとても興味があったそうです。 |
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後藤象二郎の鍔のオーダーフォーム |
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とある茶家がオーダーしたトランク |
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とある歌舞伎役者がオーダーした鏡台 |
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でもこのマークを見たら、、、 |
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板垣退助 |
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日本の部屋 畳縁にもこだわってました。 |
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出口付近では、本場スタッフによるデモンストレーションがありましたが、 素人目に見ても下手!とりあえず、白人のカワイコちゃんを立たせておけ!な感じが否めません。 でも、この机は面白かった。 椅子に座ると、職人目線で撮られた作業の動画が 机に組み込まれた画面に映し出される仕組み。 3席ぐらいあったかな? |
ポストミシンの映像もありましたが、結構いい加減な感じw
仮止めも始めと終わりだけ。
こういうのを本当の熟練作業というのかな?
至れり尽くせりの展示会。これだけ楽しめて入場無料は行くしかありません!
6月19日までとなっております。
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